野菜ソムリエノート

「知っておきたい!食品衛生のはなし」に参加しました

日本ベジタブル&フルーツマイスター協会ベジフルメンバーズクラブの講座に参加しました。
食の安全に関心を持つ私たちには興味深い内容でした。(2008..3.8)

家庭等での食品事故を防ごう

企業による食品偽装問題がクローズアップされてはいますが、家庭での衛生管理がとても大切であることをまず認識しました。
講師の藤井先生は、食品衛生に関するコンサルタントで、有機JAS認定検査員でもあり、ISO9000、ISO14000、ISO15161審査員資格も取得され、日本ベジタブル&フルーツマイスター協会講師でもあり、ご自身でも有機栽培の農家さんでもいらっしゃる方です。

なぜ「家庭」?

意外にも、家庭に起因する食品事故が潜在的にとても多いからなのだそうです。

2007年度の食中毒の報告件数は、患者数341人で全体の1.45%。
しかし、このほかに原因不明とされる800人は、「家庭に起因するだろう」と推測されるのだそうです。
しかも。
これは報告件数なので、実際にはこの100倍あるとされているそうです。
確かに「お腹を壊したな、あれがもう悪くなってたのかな」と思っていても、病院へ行くほどではない場合など、わざわざ保健所に「食中毒起こしました」とわざわざ報告しませんよね。

また、同じく2007年に発生した、家庭に起因の特異的な例として、作り置きの高野豆腐の煮物で14人食べた中で5人がぶどう球菌による食中毒が挙げられました。
なんと、調理した方の指のささくれが原因だったそうです。

ささいな怪我をしていても、日常の家事の一環としてそのまま調理することが多いかと思いますが、時にはこんな大事故にも繋がることがあると認識し、家庭内の衛生管理をぬかりなく行うことが大切なのだと思いました。

食品リスクの種類

大きく分けて3つ主要な所のみですが、メモします。

(1)生物的リスク --- 病原性微生物、ウィルス、自然毒、アレルギー、遺伝子組み換えなど

天然だからよい・安全、という迷信を捨て、自然の中にも毒が存在することを認識するように学びました。
有名なフグ毒、貝毒の他にも、カビから生成されるマイコトキアシンによる毒は小麦やピスタチオ・ピーナッツに残留する可能性もあるそうです。

(2)化学的リスク --- 食品添加物、ダイオキシン類、残留農薬、環境ホルモン、油脂酸化物、洗剤や施設使用薬剤など

微生物は潜伏期間がありますが、化学的リスクによるものは急性で毒性が高いので、特に注意が必要です。

農薬についてのお話の時間が少なく、後に質疑応答やメールで補完していただいたのですが、有機栽培と慣行栽培とでは、残留農薬の検出される比率に差は無く、0.1%程度なのだそう。

身近で、普段私たちでやってしまってる、とても恐ろしいのが油脂酸化物のリスク。
使いまわしはなるべく避け、200度以上で使用したらもう酸化するので廃棄しましょう。180度程度であればもう一回はOKだそうです。
私は個人的には、殆ど家で揚げ物をしないので、一度使ったら、匂いが強く付いていなければ向こう数日間の炒め物に使っていました・・・。これから気をつけようと思います。

(3)物理的リスク--- 髪、紙、金属片、繊維、骨、毛など

いわずと知れた、異物混入ですね。

HACCPを実践しよう

HACCPとは、どこにどんな危害があり、それがどの程度危険かを分析し(HA:ハザード・アナリシス)、その危険をどう監視するか、どう取り除くか(CCP)を検討すること。

その検討項目は、起因するものを列挙するだけでも、実に様々なところに潜んでいるのだと実感させられます。
例えば、 「食材」「保管」「保存」「運搬」「調理者」・・・・。
各項目ごとに、何が起こるか、どう防ぐかのワークシートが配布されましたので、自習課目として、私も考えたいと思います。

ちょっとしたことで、家庭内の事故が防げるポイントもたくさん学びました。
● 販売時の温度に厳しい割には、購入後に車に放置したりするなど、無頓着なケースをよく見かけるので注意する。

● 賞味期限は、あくまで未開封の状態での期限。開封後は、保管状態に充分気をつけて、その期限より早めに食べきること。
期限が28日以内の食品を14日以内に食べきると、13.6%、10日以内だと32.5%、リスクが減る。

● 土もの野菜の専用処理場所を設けることが望ましい。土には、微生物がたくさん存在するので(1gの土に10の8乗個)、特に生で食べる野菜と同居させていては、とても危険。場所を分けることが困難な場合は、処理の順番を、生野菜→魚→肉→土もの野菜とすること。
→これは、無知だった私に衝撃的でした。例えばじゃがいもなんかは、最初に処理して、水につけてアク抜きをしていたのですが、これもリスクが大きいものだったんですね。以後、気をつけています。

● 手洗いは、30秒以上行なう。傷があった場合には、手袋着用。例えば、あかぎれができて、2日後には黄色ブドウ球菌の数は10の4乗〜6乗にも増える、食中毒には100万個で発生する。

● 器具殺菌も行なうこと。ふきんは85度で1分煮沸。その他器具は80度以上で5分。消毒用アルコール製剤も効果的。70%のものを使用すること。
→そう云えば、通っているパン教室では必ずこのアルコール噴霧を行なっています。手だけじゃなくて、調理台やボウルなど調理器具にもまめに噴霧されていました。私も自宅では、必ず使ってます。

などなど・・・書ききれない項目がこの他にもあります。

国産有機野菜を食べよう

食の安全を確保するために、無農薬を含めた有機栽培の野菜こそが安全という風潮になってきていることに、ばっさりとメスが入れられました。

なんと、近隣で慣行栽培を行なっていると、そちらからの飛散は免れないのだそう。
土にもしっかり浸透しているのだとか。
それでいて 、慣行栽培と有機栽培とを比較した際、残留農薬が検出される比率は0.1%と同じなのだとか。

それではなぜ、有機栽培を先生は推進しているかと云うと、環境問題を考えてのことであり、土の力を本来の姿に戻して、次の世代に伝えたいとのことでした。

私もかなり、有機野菜について誤解している点があり、非常に反省しました。
味の優劣はないとのことらしいですが、私には有機栽培の野菜が美味しいと感じましたし、これからも積極的に有機栽培の野菜を食べていきたいです。
農薬についてもっと知りたいし、ジュニアマイスターの授業で習った、正しい情報の取り入れ方を今一度おさらいして、肝に銘じなくては、とも思います。

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