野菜ソムリエノート

残留農薬の危険性はどれくらい?

先日、内閣府食品安全委員会の委託を受けた機関が実施した残留農薬の危険性を考えるイベントに参加してきました。(2009.12.9)

農薬の安全性

「農薬自体は危険、農薬を使った野菜・果物は危険ではない」と、ジュニア・ベジタブル&フルーツマイスターの授業でも習いましたが、何故かと云うところまでは深くまだ判りませんでした。
「農薬自体が危険」と云うのは判ります。当然口に入れたら大変なことになります。
しかし、「農薬を使った野菜・果物は基本的に安全なもの」と云う処が実感できません。

どういうことかというと、農薬は、ある特定の虫を殺すなどそれぞれの働きを終えたら、野菜・果物を食べる人間には直接影響を及ぼさないような性質のものであるとのことでした。

農薬の使用基準の決め方

使用量は次のような手順で厳しく定められているそうです。

動物実験で毒性試験

ここで無毒性量を決定します。
毒性、発がん性、急性、慢性など20種類の様々な観点で、組み合わせも含めて検査されるそうです。
そこで、全ての試験で有害な作用を示さない上限量を決めます。

あくまで、動物実験です。
人が服用する薬は、最終的には人で実験(治験)ができますが、農薬はあくまで作物に使うものなので人で実験するわけには行かないからです。
そこで、薬のデータを参考にしているそうです。

1日摂取許容量(ADI)の設定

その農薬を、日にどれだけ摂取しても安全かの量を決めます。

動物実験で得た無毒性量に、安全係数1/100をかけるとその値になります。

人の1日の摂取許容量を設定

さらに、具体的に人が摂取する場合の1日の摂取許容量を設定します。
懸念されるような健康上のリスクを伴わずに、人が生涯にわたって毎日摂取することができる量だそう。
これは、私たちが普段食べる様々な野菜果物のトータルの残留農薬の量がADIを越えないように設定しているそうです。

ADIに日本人の平均体重である50kgをかけるとその値になりますが、最終的には最も危険性の高い条件で値を決めます。


実際にモニタリングで検出される例は、1%以下とのことです。

厳密に厳しい基準で設定しているとは理解しつつも、素朴な疑問なのですが、
・安全係数は1/100で十分なのか?
・検出される例は1%以下とのことだけど、母数が判らず、またその例に自分が当たらないとも限らないのでは?
と思ってしまいました。
残念ながら、個別の質問には答えられない仕組みのイベントなので、今後調べていきたいと思います。


無農薬は安全?

神戸大学の調査結果で、市販野菜の農薬検出率というのがありました。
その結果・・・
 無農薬栽培 54%
 通常栽培 45%
でも、この結果しか知らされなかったので、これだけでは「なるほど、そうか!」と思うわけには行きません。

そう云えば以前参加した講習会「知っておきたい!食品衛生のはなし」でも、近隣で通常栽培を行なっている農地があれば、いくら無農薬で栽培していても飛散してくるので「無」ではないということを聞きました。
土壌に浸透している成分もあるでしょう。

ただ「無農薬」というだけでは、本当の「無」農薬ではないだけであって、無農薬が危険ということではないのです。

最後に

国が云うには、残留農薬は心配しないでいいとのこと。
それはそれとして、やはり私個人としては、環境への影響や、おいしさの点から、できるだけ慣行栽培ではなく、有機栽培のものを選ぶ路線に今の処変わりはありません。

虫がいると食べられない、と云う方にはおススメできませんが、元来農作物というのはそういうものだと思います。


野菜と果物をもっと美味しく、もっと楽しみ豊かな食生活を実現しませんか。

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